「Think clearly」ロルフ・ドベリ著

「Think cleary」(サンマーク出版)ロルフ・ドベリ著

私たちの脳の進化は、あまりに早い文明の発展スピードに適応できていないらしい。時代に合わない脳で複雑な現代社会を生きようとする私たちは、当然、考え方においても生き方においてもミスをする。そうしたミスを防いで、よい結果をもたらすようにふるまえるようになるには、いろいろな思考法が詰まった「道具箱」が必要なのだ。

いつでも使える思考の道具を用意しておけば、世界をより客観的にとらえ、長期的によい結果をもたらす行動ができるようになる。日々練習を重ね、箱の中にある思考の道具の使い方をマスターすれば、だんだんと自分たちの脳の仕組みを変化させ、よりよいものにすることができる。 

そのための52の道具を紹介している書籍。斬新な道具もあれば、かなり有効活用できる道具もある。その一方、利用が難しい道具もあれば、既に私自身が使っている道具もある。著書を通じ、著者の箱を一通り紹介してもらい、そこから更に自分なりに整理し「自分流の思考法が詰まった道具箱」を整えていくこと。そのためのヒントになる著書でした。

 

紹介されていた思考の道具は沢山ありましたが、中でも16番目の「自分の向き不向きの境目をはっきりさせる」という思考の道具は、私自身が普段の生活において心がけていること。

投資家のウォーレン・バフェットは、「能力の輪」という素晴らしい表現を用いている。人間は、自分の「能力の輪」の内側にあるものはとてもよく理解ができる。だが「輪の外側」にあるものは理解できない、あるいは理解できたとしてもほんの一部だ。バフェットは人生のモットーとして「自分の『能力の輪』を知り、その中に留まること。輪の大きさはさほど大事じゃない。大事なのは、輪の限界がどこにあるかをしっかり見極めることだ」と述べている。

なるほど「能力の輪」。人生半世紀を過ぎた私自身、まさにこの「能力の輪」を意識しながら仕事し、生活していくことの大切さを痛感しています。

自分の「能力の輪」の内側でなら、間違った思い込みや考え違いに対しても適切な対応措置がとれる。それどころか、従来の慣習を打ち破るようなリスクを冒すこどだってできる。「能力の輪」の内側では、必要なだけ先を見通し、その後に起こる事態を予測することができるからだ。

 

そして、37番目の「読書の仕方を変えてみよう」について。

30歳を過ぎたら、人生の残りの時間を出来の悪い本に費やすのはもったいない。

私、現在50歳。若かりし30歳の頃からこの20年間、沢山の本を読んできたつもりですが、今ではその多くの書籍名は思い出せず、内容もあまりよく覚えていません。明確な目的意識をもたずして読書してきてしまった、ということだろうと思います。

内容の大部分が頭の中に浸透しないとしたら、「読むことの意義」はいったいどこにあるというのだろう?

私たちは、もっとも重要な資源である私たちの「注意」を、それに見合うだけの価値のない本に浪費してしまっているのである。

これからの読書人生は「良い本を選んで二度読む」ことに徹したいと思い始めています。そして「その本を読む意味があるかどうか」真剣に考えたいと思います。

具体的には、この著者にならい、私自身これからの5年間での書籍は30冊(もしくは50冊)に決めようと思っています。

自分にとって本当に必要となる良書を厳格に選び、その本を何度も読む。何度も読んで記憶の中にもしっかりと定着させ、自分の血となり肉としていくこと。

「読んでも、自分の人生にあまり意味はない」と途中で判断した書籍は読めるのを止める、という厳格な判断を下していくこと。

読書についてブログで書く以上、「私自身の人生に絶対的に意義ある書籍だ」と覚悟と責任をもって言える書籍について書くこと。

 

この「Think clearly」は、確かに私の30冊(もしくは50冊)のうちの1冊になります。時間を置かず再び近いうちに、2度目を読み始めたいと思います。

今後も、自分の人生に大きな意味をもたらせてくれる「良書」との出会いを、楽しみながら求めていきたいと思います。