振り返ってみると、ごくありふれた日常の中の小さな出来事や出会いが、私の人生を少しずつ思いもよらない方向へと導いてきています。
その一つは、小学5年生の時に出会った担任の先生でした。
小学校5年生
当時の担任の先生は、バスケットボール経験者でした。
休み時間だったのか、放課後だったのか。
校庭だったのか、体育館だったのか。
細かなことは覚えていません。
でも、鮮明に覚えている場面があります。
それは、小学生用の低いリングに向かって勢いよくドリブルで向かっていき、ジャンプしそのままダンクシュートを決めた先生の姿。
「す、す、すげえわ。」
「むっちゃかっこええ。」
その一瞬で、少年だった私の心は持っていかれました。
「やってみたい」
その日から、バスケットボールというスポーツが気になり始めました。
ボールを触る。
ドリブルで走る。
シュートを打つ。
友達とバスケをやってみる。
お小遣いで月刊バスケットボールを買う。
番組自体は少なかったけど、機会があればテレビで試合や特集を見たり。
少しずつ、バスケットボールが日常の中に入ってきました。
最初から「選手になりたい」と思ったわけではありません。
ただ、
「やってみたい。」
その気持ちだけでした。
気がつけば夢中になっていた
小学校では体育の授業や遊びの中でバスケットボールをやりました。
中学校入学後は本格的なクラブに所属。そのまま高校入学後もバスケットボールを続けました。大学でも同好会に所属。
アツアツのバスケ愛が周囲に認められたためか、中学でも高校でも主将を務めました。
小学校で遊びでやってたバスケは楽しかったけど、中高クラブでの練習は決して楽ではありませんでした。
朝も練習、土日も練習。
春夏冬の学校が休みの日も練習の毎日。
合宿はもちろん。
試合に負けて悔しい思いもしました。
監督にもよく叱られました。
チームメイトと言い合うこともありました。
やめたくなる時もありました。
でも、バスケに夢中でした。
バスケのことばかり考えていました。
バスケットボールから学んだことは技術だけではありません。
仲間と力を合わせること。
監督を信じ、敬うこと。
目標を持つこと。
努力を続けること。
そして、継続すること。
これらは、その後の人生で何度も私を支えてくれることになります。
そして、今の私の人生観や仕事観の土台にもなっています。
先生は覚えていないかもしれない
もちろん、あの日、先生は私の人生を変えようと思ってダンクしたわけではありません。
いつものようにプレーしただけでしょう。
でも、一人の小学5年生には十分でした。
たった一度のダンクシュートが、その後何十年も続く人生経験の入り口になったのです。
先生は、あの日のダンクは覚えていないかもしれません。
でも私は、56歳になった今でも鮮明に覚えています。
おわりに
私の言動も自分では気づかないうちに、誰かの人生の「きっかけ」になっているかもしれません。
会社での何気ない一言。
子どもへの声掛け。
友人との何気ない会話。
自分ではすぐに忘れてしまうようなことも、それを受け取った誰かの心には、長く残ることがあるかもしれません。
私は、人との出会いを大切にすることを心がけています。
今の自分も、誰かの新しい挑戦の「きっかけ」になれるかもしれない。
そう思うと、一つ一つの出会いが、以前より少しだけ特別なものに感じられます。
“あの日、担任の先生が見せてくれた一本のダンクシュート。あの時の先生は知る由もありませんが、あの日の少年は、56歳になった今でも感謝し続けています。”
次回は、ある一本の映画との出会いについて書いてみようと思います。観た当時は「面白い映画」とは思いませんでした。それでも、あの映像だけは何十年経った今でも頭から離れません。一本の映画が、今の私の感性の原点になるとは、その時は思いもしませんでした。
