「カセットテープ・ダイアリーズ」(2019年イギリス映画)

★映画.com 「解説」抜粋:

1980年代のイギリスを舞台に、パキスタン移民の少年がブルース・スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長していく姿を描いた青春音楽ドラマ。87年、イギリスの田舎町ルートン。音楽好きなパキスタン系の高校生ジャベドは、閉鎖的な町の中で受ける人種差別や、保守的な親から価値観を押し付けられることに鬱屈とした思いを抱えていた。しかしある日、ブルース・スプリングスティーンの音楽を知ったことをきっかけに、彼の人生は変わり始める。出演は「キャプテン・アメリカ」シリーズのヘイリー・アトウェル、「1917 命をかけた伝令」のディーン=チャールズ・チャップマン。監督は「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ。

★感想:

映画の原題はブルース・スプリングスティーンが1973年に発表した楽曲『Blinded by the Light』。日本語題は『カセットテープ・ダイヤリーズ』。もし、この懐かしさを感じさせる日本語題でなければ、私の目には留まらず素通りしてしまっていたかもしれません。カセットテープ世代の私としては、素晴らしい映画ネーミング!

ブルース・スプリングスティーンの曲で歌って踊って、という陽気でミュージカル的なシーンもあるけれど、その背景にあるテーマは結構重かったりする。

親と子の対立。そして、階層、人種同士の対立。それらの対立の間をブルース・スプリングスティーンの歌が行き来する。

ぶつかり合いながらも時間をかけながら、各々が成長しながら歩み寄り、分かりあっていく。親と子が理解し合いながら映画はハッピーエンドに向かっていく。が、世の中の不条理や対立は、映画のようにうまくハッピーエンドに向かっていかない。でも、1つの素晴らしい歌が、音楽が、小説が、映画が、世の中に少しだけ光をもたらすことだってできる。そう、目を眩ませるほどの光を。ハッと我に返らせるだけの力を持つ光を。

ブルース・スプリングスティーンの曲が、映画の少年の人生に光を与えたように。

事実に基づく青春音楽映画、、ってところがいい。