第1章 夢のマスターズ
第2章 四国から望む海
第3章 ライバルの存在
第4章 杜の都での研鑽
第5章 プロへの階段
第6章 日本の頂点を目指して
第7章 海外での挑戦
第8章 あの夏の天国と地獄
第9章 苦悩の3シーズン
第10章 夜明け前
第11章 オーガスタの風
第12章 その先の景色を求めて
2021年、マスターズ・トーナメント優勝。アジア人史上初。世界の頂点に立ったプロのアスリートから沢山のことを学びたい、その目線から世界を眺めてみたい、、、そう思って読み始めました。
ゴルフのスキルアップにつながる考え方、そして、ゴルフを仕事や人生としっかりつなぐ考え方など、とても盛りだくさんで贅沢な内容でした。
1打1打をマネージメントするために考える。
想定が合っていたときにも有頂天にならずに考える。
想定が違っていたときにも慌てず冷静に考える。
自分のゴルフを語るために考える。
そして、自分自身を知るために考える。
ゴルフも他のスポーツも趣味も、仕事も、、、自身を正しく知り、自分の力が最大限に発揮できる場所に到達できるかどうか。その場所を深く掘り下げ、自分の中心軸へ到達することができるかどうか。
世界の頂点に立つ人間は、自分の中心軸がどこにあるのか知っている。そこに向かって惜しみなく努力と挑戦を重ねていく。自分の中心軸に到達した人から放たれる言葉と思いは、現在進行形で自分の中心軸を探してる人の心を打つ。
彼方への挑戦。
世界の頂点に立った松山英樹選手は、これからも挑戦し続ける。その姿に、私含めた多くのファンの心は揺さぶられ続けるだろう。
彼方彼方への挑戦。
1打でも少なくホールアウトするために、いくつかあるルートを思い浮かべ、それぞれのメリットとデメリットを考えて判断していく必要がある。
早い時期から1打への自分の意図、プロセスをはっきりと説明できるように練習から取り組んで欲しい。
ゴルフのスーパープレーは、リスク覚悟の攻め方と隣り合わせでもある。
ゴルフのおもしろさは、ショットごとに「どこにボールを置くべきか」「そのためにはどこを狙うべきか」と頭を働かせ、握るクラブや打つべきショットの種類を選び、挑戦することにある。
ゴルフの1つひとつのショットは、自分に成功体験と失敗体験のどちらも積み重ねていく。
僕は「練習のときにさえ打てないショット」に試合でチャレンジすることはない。それは「積極的」ではなく「無謀」という。成功する確率がどのくらいあるかを見極める能力は、普段の練習や試合での経験をきちんと頭で整理していくことでしか養えない。それぞれのプレーに根拠や理屈を求めない姿勢は、きっと成長を妨げてしまう。
ケガを抱えている、スイングがうまくできない、理想に程遠い。でも、そういったなかでなんとかする。うまくいかせるためにどうするかを、いつも考えなければならない。
不平や言い訳はいくらでも思いつく。でも、それらも「しかたない」と受入れてプレーを進めるしかない。
どんな場面においても、良くなるきっかけやヒントは小さくとも絶対にあるはずだ。
ハイレベルな選手が集まる欧米のツアーだけでなく、日本にも自分にフィットするかもしれない「教材」はある。目の前に転がっている「それ」を見つけられるのは、アンテナを敏感に張っていればこそだ。ヒントはいつ、どこにあるかわからない。
ゴルフは運と不運がゲームを大きく左右するスポーツだ。だからこそ、「不運だったからしかたがない」と割り切らざるをえない状況も多々ある。でも、運や試合の流れを引き寄せるのは自分だと考えていないと、毎日の練習に意味をもたせることができなくなる。
良い選手、好調なゴルファーほど、自分の状態や動きをよく知っている。
ゴルファーの一打の行方は、誰のせいでもなく、そのゴルファーの責任だ。ショットが曲がるのは自分のせい、パットが入らないのも自分のせい。
攻め気が強すぎると、トラブルになる可能性がある。慎重さを忘れてはいけない。
トラブルに陥ったときは、まずその状況において選択肢がいくつあるかを見極めることが重要だ。ゴルフでいえば、ボールが置かれたライの状態はどうか。ピンをまっすぐ狙えるか、狙えないか。仮にボールを曲げればグリーンの近くまで運べるか否か。目の前の1打を犠牲にしても、その次のショットなら良いポジションを確保できる可能性があるか。自分の技量は、今の調子はどうか。レパートリーをいくつも並べ、優先順位をつけて最善策を選びたい。
プロのアスリートは、まず目の前の結果で世間から判断される。それが宿命だ。その結果を生むための努力や、内容を突きつめる日々は、他人の評価の対象ではないし、そうあるべきだとも思わない。
周りから見た努力は、他人と比べたときのものにすぎない。求めた結果が出ないうちは、プロとしてそれは努力とは呼べないのかもしれない。僕は自分自身、結果につながる正しい努力をしてきたかもわからない。ただ、なにより楽しくて、ゴルフを突きつめていきた。
時間がどれだけ流れても、積み上げてきたものは決して無駄にはならないと思う。自分の歩んできた道に胸を張り、それでいて意固地にならずいん、新しいもの取り入れる勇気をもてばまた前に進める。
ゴルフはたくさんの「うまくいかない」をつなぎ合わせてスコアをつくるゲームだ。でも、うまくいかないから、うまくいった時が楽しい。うまくいかないから、うまくいったときを想像する。なぜ、うまくいかないかを考え、それを突きつめるのが楽しい。
「人生と同じ」などと偉そうなことは言えないけれど、ゴルフは「うまくいかない」を楽しむスポーツだ。