「ペスト」カミュ著

ペスト カミュ著

「ペスト」(新潮文庫)カミュ著・宮崎 嶺雄(翻訳)

(私はKindleで購入。紙の書籍は在庫が切れている/品薄状態のようです。)

フランスのノーベル文学賞作家、アルベール・カミュが1947年に発表した超有名すぎる長編小説。舞台は1940年代のアルジェリア・オラン市で、高い致死率を持つ伝染病ペストの発生が確認され、感染拡大を防ぐために街が封鎖される。外部と遮断された孤立状態の中で、恐怖、孤立、孤独、離別と向き合いながら「見えない敵」と闘う市民の姿を描いた作品。

古典の名作を読むのって何年ぶりだろう?

前回読んだとき、何を読んだっけ?

最初はそんな感じでした。

カミュの作品のキーワードは不条理

ところで、不条理って何だろう?

知っているようで、説明するのが難しい言葉。そこでググってみました。英語部のサイトでは「不条理」の意味と使い方、類語、「理不尽」との違いなどが説明されていました。

不条理とは、人の力ではどうしようもないこと。

「なぜ?」に対する答えが出せないこと。

運命の悪戯としか言いようのないこと。

たとえば、自分の人生を決める機会は誰にでも平等に与えられることが正しい筋道かもしれないけど、実際の世の中はそうなっていない。これは世の中の不条理。

不条理の哲学においては「不条理なことに意味を見出そうとする人間の努力は最終的には失敗する」ということが主張される。

不条理の類語は、矛盾、無理、非合理、シュール、超現実的、背理、荒唐無稽、など。

不条理の対義語は、条理、道理、理路、筋道、つじつま、など。

不条理の英単語は、名詞はabsurdity、 形容詞はabsurd。例えば「completely unreasonable and ridiculous(全く理にかなっておらず馬鹿げてる)」

これらのことを頭に入れた上で「ペスト」の話しに戻ると、

世界は、人間社会は不条理で満ち溢れている。

普段はその不条理の姿は見えない。

しかし、ある時突然に不条理が人間を襲う。

その不条理に対し、人間がどのように立ち向かっていくのか。

不条理とはペストそのものでもあると同時に、立ち向かおうとしている人間そのものであること。

「ペスト」で描かれている世界は、私たちが今直面している世界ととてもよく似ています。

結局世の中の不条理は今も昔も変わらない、ということ。

不条理と向き合いながら生き続けるのが私たち人間。

カミュが「ペスト」で示唆しようとしていることを、文章で表現することはとても難しいです。そもそも、文章で表現する前に、私自身がカミュの「ペスト」世界観をちゃんと理解できているのだろうか?

読み終えた後、「ペスト」について発信しているいろんなYouTube動画も見てみました。右手にカミュの作品(Kindle版)、左手にスマホ持ってYouTube動画。「ペスト」世界観への理解に広がりが出たような気もします。これも新しい読書の方法かな。

さて今から1年後、世界はどうなっているんだろう?その時再び「ペスト」を手にとり読もうとするとき、私は何を見るんだろうか?